ギャンブル依存症とは|なりやすい人の特徴と症状&治し方
ギャンブルの事が頭から離れない!ギャンブルの頻度や賭け金が以前よりも明らかに増えている!という方は、ギャンブル依存症の予備軍である可能性が高いです。ギャンブル依存症は自己コントロールを失う精神疾患の種で、放置しておくと、犯罪や家庭内暴力など、社会問題を引き起こす原因にもなり兼ねません。
本記事では、ギャンブル依存症になりやすい人の特徴と治し方をまとめました。
- ギャンブル依存症の定義と診断基準
- ギャンブル依存症になりやすい人の特徴
- ギャンブル依存症の症状と治し方
目次[閉じる]
ギャンブル依存症とは
ギャンブル依存症とは行為・過程アディクション(嗜癖障害)の一種で、ギャンブルの行為や過程に心を奪われ、「やめたくても、やめられない」状態になることを指します。
ギャンブルによって普段の生活や、社会活動に支障が出る精神疾患といえます。ギャンブルを断てば解決するとは、必ずしもいえません。自然治癒が難しい病気で、ギャンブル障害とも呼ばれます。
日本国内のギャンブル依存症人口
日本国内にどれくらいのギャンブル依存症の人がいるのかについては、過去に何度か国による調査が行われています。厚生労働省が2013年に調査を行い、2014年8月に結果を公表しました。それによると成人の4.8%(536万人)が、「ギャンブル等依存症の疑い」とされています。
直近の調査では2021年8月27日に、厚生労働省が公表したデータがあります。それによると成人男性の3.7%・成人女性の0.7%が、「ギャンブル等依存症の疑い」という結果になっています。概ね320万人前後のギャンブル依存症の人がいることになります。
世界のギャンブル依存症人口
世界の主要国のギャンブル依存症の割合については、国立病院機構久里浜医療センターがまとめた主要国のギャンブル依存症の割合があります。各国ともギャンブル依存症の割合が極めて低いことがわかります。
国名 | 成人人口に対するギャンブル依存症の割合 |
---|---|
アメリカ | 1.9% |
イギリス | 0.8% |
ドイツ | 0.2% |
フランス | 1.2% |
イタリア | 0.4% |
スイス | 0.5% |
韓国 | 0.8% |
日本はギャンブル依存症大国だった?
世界の主要国のギャンブル依存症の割合と比較をすると、日本は際立って多いことがわかります。2021年8月27日に厚生労働省が公表したデータによれば、過去1年間に最も金銭を使ったギャンブルは、男性はパチスロ・パチンコ・競馬の順で多く、女性はパチンコ・パチスロ・宝くじでした。
つまり日本のギャンブル依存症は、パチンコとパチスロの存在とも、深い関係があるといえるのです。
ギャンブル依存症になりやすい人の特徴
ギャンブル依存症になりやすい人の特徴は、どのようなものがあるのでしょうか。まずはギャンブル依存症の原因について見てから、なりやすい人はどんな人なのか解説しましょう。
ギャンブル依存症の原因
ギャンブルには触れるだけで快感を得られる要素がたくさんあります。ですからしばらく止めていても、久しぶりに接すると再び止められなくなります。これは脳内の「脳内報酬系」と呼ばれる部位に関係があります。 人間が感じる気持ちの良さやワクワク感、多幸感などはこの部位の働きによるものです。
ギャンブルで大儲けをした際には、この部位が働きドーパミンという物質が放出されます。ドーパミンは脳内ホルモンの1つですが、快楽物質ともよばれます。つまりドーパミンにより気持ちの良さやワクワク感を感じるわけです。ところがギャンブルをやり続けると、脳内報酬系はドーパミンに対して鈍感になっていきます。気持ちの良さを再び味わいたいために、ギャンブルにのめり込んでしまうという構図です。
ギャンブル依存症になりやすい人
ギャンブル依存症と聞くとパチンコや競馬に通いつめる、ギャンブラーを想像するかもしれません。しかし依存する人は、そういう人たちではありません。毎日仕事に出かけ、勤務先では周囲から信頼される、真面目な人が多いのです。仕事ができる人も少なくありません。周囲からの期待に必死に応えようとするあまり、こまめにストレスを発散することができず、ギャンブルにはまってしまうのです。
ギャンブル依存症の代表的な症状
ギャンブル依存症の代表的な症状には、どのようなものがあるのでしょうか。まずはギャンブル依存症の診断基準をチェックしてから、代表的な症状について見ていきましょう。
ギャンブル依存症の診断基準
アメリカ精神医学会の精神疾患の診断基準である、「精神疾患の分類と診断の手引き(DSM-5)」では、次のように定められています。
- 興奮を得たいがために、掛け金の額を増やして賭博をする欲求
- 賭博をするのを中断したり、または中止したりすると落ち着かなくなる、またはいらだつ
- 賭博をするのを制限する、減らす、または中止するなどの努力を繰り返し成功しなかったことがある
- しばしば賭博に心を奪われている
- 苦痛の気分(無気力、罪悪感、不安、抑うつ)のときに、賭博をすることが多い
- 賭博で金をすった後、別の日にそれを取り戻しに帰ってくることが多い
- 賭博へののめり込みを隠すために嘘をつく
- 賭博のために重要な人間関係・仕事・教育、または職業上の機会を危険にさらし、または失ったことがある
- 賭博によって引き起こされた、絶望的な経済状況を免れるために、他人に金を出してくれるよう頼む
ギャンブル依存症の症状
ギャンブル依存症の症状は、診断基準を反映しています。次のような症状が現れたら、ギャンブル依存症の可能性が高いといえます。
- ストレスやイライラのはけ口でギャンブルをする
- 一日中ギャンブルのことが頭から離れない
- 稼いだお金をギャンブルにつぎ込んでいる
- 負けた分を取り返すと理由をつけてギャンブルに通う
- ギャンブルをするために借金をしている
- ギャンブルに負けていることを家族に隠している
これらの症状がある場合は、遊びの域を超えています。
ギャンブル依存症の治し方
自分や家族、親しい人がギャンブル依存症に陥ってしまったら、どのように対処すればいいのでしょうか。
治療方法についても知りたいところです。詳しく解説しましょう。
ギャンブル依存症の治療方法
家族療法や認知行動療法(CBT)が、治療に役立つことがあります。患者をギャンブル環境から遠ざけることを目的として、入院治療も行われます。 最もエビデンス報告の多い治療の手段は認知行動療法です。
ギャンブル障害に対する薬物療法は、未だ確立されていません。しかし今日では精神薬理学的治療は、ギャンブル障害の治療に重要な役割を果たしています。抗うつ薬などの気分安定薬や、非定型抗精神病薬が使用されます。
また自助組織である「ギャンブラーズ・アノニマス(GA)」への参加は、一部の患者に対しては有効とされています。GAは日本国内にも各所に設置されています。
ギャンブル依存症のまとめ
ギャンブル依存症についてみてきました。日本の成人人口に対するギャンブル依存症の割合は、主要国と比較すると飛び抜けて高いことがわかります。これはパチンコやパチスロと無関係ではないでしょう。ギャンブルは嗜む程度に、とどめておく方が無難です。競馬であればGレースだけ楽しむ、あるいは宝くじならサマージャンボと年末ジャンボだけにするといった具合です。
パチンコやパチスロはやめろとはいいませんが、あらかじめ賭け金を決めておくといった工夫が必要でしょう。ギャンブルは本来は楽しいゲームです。遊ぶ程度が1番です。